死亡(その2)
5.主要4大死因による死亡
 漁業従事者のがん、事故、心臓病、脳卒中の4大死因による死亡をさらに分析して、4大死因による死亡の年度別死亡率をみると、がん死亡率が10万件に対し毎年128〜138と極めて高い死亡率を示しています。以下、事故が42〜45、心臓病が29〜33、脳卒中が20〜27となっています。(表8)
 これを国民のがん、事故、心臓病、脳卒中による死亡率と比較してみると、漁業従事者のがん、心臓病、脳卒中による死亡率は、国民のそれぞれの死亡率よりも低くなっています。これは、チョコーでは病弱で生命危険度が高い人や70歳以上の高齢者は加入できないことが関与しているものと思われます。
 これに対し、危険予測が困難な事故による死亡率は、国民が10万対32であるのに対し、漁業従事者は10万対45と40%も高い死亡率を示しています。(表9図3
 漁業従事者の事故、がん、心臓病、脳卒中による死亡について、それぞれ分析します。

(1)漁業従事者の事故による死亡
 男性の年度別・年齢階級別事故死亡率をみると、年齢が増すにつれて事故死亡率が高くなるのが分かります。それと97〜99年度の3年間の事故死亡率の変動ですが、40〜49歳は毎年10万対54で不変、50〜59歳は112、68、90とほぼ下降傾向、60〜69歳では139、135、132と僅かながら下降しています。
 これに対し、20〜29歳は38、42、59、30〜39歳は29、52、66と、ともに事故死亡率が上昇しており、今後の動向に注意する必要があります。(表10)
 漁業従事者の年齢別事故死亡率を国民のそれと比較してみると、いずれの年齢階級でも、漁業従事者の事故死亡率は国民よりも高く、2〜4倍です。(表11図4
 この高い死亡率を示す漁業従事者の事故の原因をみると、漁労作業中の事故が55%を占めていて、漁労作業の危険性がうかがわれます。交通事故は31%、その他が14%でした。(表12)
 これをさらに年齢階級別にみてみると、20〜29歳では交通事故が58%と最も多く、漁労作業中は38%です。30〜39歳では漁労作業中が47%、交通事故が34%でした。
 そして、40〜49歳では漁労作業中が83%、50〜59歳は59%、60〜69歳が68%と、とくに中高齢者の漁労作業の危険性が大きく、その防止対策が重要な課題です。(表13)


(2)漁業従事者のがんによる死亡
 年度別・性別・年齢階級別がん死亡率をみると、男女とも40歳代、50歳代、60歳代と年齢が高くなるほど死亡率は上昇しています。
 そして、男女の比較では各年齢階級とも、女性は男性よりもがん 死亡率は低いです。(表14)
 国民のがん死亡率と比較すると、男女各年齢階級とも漁業従事者と国民の間に、事故死亡率にみられたような顕著な差はみられません。(表15)
 漁業従事者のがん死亡の部位別死亡数をみると、がんによる死亡1,581件のうち、肺がんが352件(22%)で最も多く、胃がんが276件(18%)、肝がんが267件(17%)、大腸がんなどのその他の消化器のがんが337件(22%)となっています。(表16)

(3)漁業従事者の心臓病による死亡
 3年間の心臓病による死亡の死因病名別死亡数をみると、全心臓病死亡372件のうち、心筋梗塞を主とする虚血性心疾患が、192件(52%)でした。(表17)


(4)漁業従事者の脳卒中による死亡
 同じく脳卒中による死亡の死因病名別死亡数をみると、全脳卒中死亡276件の死亡のうち、脳梗塞が94件(34%)、脳出血が91件(33%)でした。(表18)